ライブ配信を行う際、「どの解像度・ビットレートで配信すればいいのか」「どれくらいのインターネット回線が必要なのか」で悩む方は少なくありません。

設定が適切でないと、次のようなトラブルにつながります。

  • 映像が粗くなる
  • 音声が途切れる
  • 配信が停止する
  • 視聴者側で再生が安定しない

一度配信が始まると設定変更が難しい場合もあるため、事前に適切な設定を把握しておくことが重要です。

今回は、企業イベントやウェビナー、SNSライブ配信などで利用される主要なライブ配信プラットフォームについて、外部エンコーダーを使用したRTMP/RTMPS配信時に必要となる推奨設定と回線速度の目安を、公式ドキュメントをもとに解説します。

1. 配信前に知っておきたい基礎知識

ライブ配信の設定画面には、解像度やフレームレート、ビットレートなどさまざまな項目があります。しかし、それぞれの意味を理解せずに設定すると、画質の低下や配信トラブルの原因になることがあります。

まずは、各プラットフォームの推奨設定を見る前に、ライブ配信でよく使われる基本用語を確認しておきましょう。

1-1. 解像度

映像の画素数を表します。一般的なライブ配信では次の解像度が利用されます。

  • 3840×2160(4K UHD、2160p)
  • 1920×1080(Full HD、1080p)
  • 1280×720(HD、720p)

解像度が高いほど高画質になりますが、その分ビットレートや回線速度も必要になります。

1-2. フレームレート(FPS)

1秒間に表示される画像の枚数です。フレームレートが高いほど映像が滑らかになります。

  • 60fps(スポーツやゲーム配信向け)
  • 30fps(セミナーや講演会向け)

激しい動きが少ない企業向けのライブ配信では、30fpsが一般的です。

1-3. ビットレート

1秒間に送信するデータ量です。単位は「kbps」「Mbps」で表されます。(1000kbps=1Mbps)

ライブ配信では、映像と音声のビットレートを合計した「配信ビットレート」の値が、実際に送信されるデータ量になります。一般的にビットレートが高いほど画質・音質は向上しますが、必要な回線速度も増加します。

映像ビットレート

同じ解像度でもビットレートが低すぎると、映像の破綻やブロックノイズが発生することがあります。一般的に、解像度やフレームレートが高いほど、より高い映像ビットレートが必要になります。

音声ビットレート

一般的なライブ配信では128kbps程度が利用されることが多く、音楽ライブなど音質を重視する場合は192〜320kbpsが利用されることもあります。

1-4. 音声サンプルレート

音声を1秒間に何回サンプリング(記録)するかを示す値です。

ライブ配信では44.1kHzまたは48kHzが利用されることが多く、映像制作やライブ配信では48kHzが標準的な設定として広く採用されています。

1-5. コーデック

映像や音声のデータ量を小さくするための圧縮方式です。ライブ配信では、映像にH.264、音声にAACが広く利用されています。

映像コーデック

  • H.264(AVC)
    映像データを効率的に圧縮するための映像コーデックです。現在も多くのライブ配信プラットフォームで標準的に利用されています。H.264には「プロファイル(Profile)」と「レベル(Level)」が定義されており、ライブ配信では「High Profile」が広く利用されています。また、1080p配信では「レベル4.0〜4.2」が指定されることがあります。通常は配信プラットフォームの推奨値に従って設定すれば問題ありません。
  • H.265(HEVC)
    H.264より高い圧縮効率を持つコーデックです。4K配信で利用されることがあります。ただし、ライブ配信プラットフォームによっては対応していない場合があります。

音声コーデック

  • AAC(Advanced Audio Coding)
    音声データを効率的に圧縮するための音声コーデックです。多くのライブ配信プラットフォームで標準的に利用されています。一般的なライブ配信でAACと記載されている場合は、AAC-LC(Low Complexity)を指すことがほとんどです。
  • MP3(MPEG Audio Layer-3)
    広く普及している音声コーデックで、一部のライブ配信プラットフォームで利用できます。

1-6. ビットレート制御

エンコーダーがビットレートをどのように制御するかを示す設定です。

  • CBR(Constant Bitrate)
    常に一定のビットレートで配信する方式です。多くのライブ配信サービスで推奨されています。
  • VBR(Variable Bitrate)
    映像の内容に応じてビットレートを変動させる方式です。

特に指定がない場合は、CBRを選択することをおすすめします。

1-7. キーフレーム間隔

キーフレームとは、映像の基準となるフレーム(完全な画像データ)です。動画はキーフレームと、その差分データを組み合わせて圧縮されています。

キーフレーム間隔が長すぎると、視聴者側で再生開始に時間がかかったり、映像がスムーズに再生されない場合があります。

ライブ配信では2秒間隔が推奨されることが多く、多くのプラットフォームでも推奨値として案内されています。例えば、30fpsで2秒間隔に設定した場合、60フレームごとにキーフレームが挿入されます。

1-8. 配信プロトコル

エンコーダーから配信プラットフォームへ映像や音声を送信するための通信方式です。利用するプロトコルによって、対応する配信サービスや遅延、通信の安定性などが異なります。

  • RTMP(Real-Time Messaging Protocol)
    長年利用されているライブ配信向けの通信プロトコルです。OBSやvMixなど多くのエンコーダーが対応しており、YouTube LiveやFacebook Liveなどの主要な配信プラットフォームで広く利用されています。
  • RTMPS(Real-Time Messaging Protocol Secure)
    RTMPをTLSで暗号化したプロトコルです。通信内容を保護できるため、現在はこちらの利用が推奨されています。
  • SRT(Secure Reliable Transport)
    低遅延かつ安定した映像伝送を実現するプロトコルです。回線品質が不安定な環境でも映像を安定して送信できるため、業務用途やリモートプロダクションで利用されることがあります。

現在、多くのライブ配信プラットフォームではRTMPまたはRTMPSによる配信に対応しています。

2. 各プラットフォームの公式推奨設定【一覧表】

以下は、各ライブ配信プラットフォームが公式にアナウンスしている推奨設定です。なお、単位や表記は公式ドキュメントに準拠しているため、統一されていません。

プラットフォーム解像度フレームレート映像ビットレート音声ビットレート / サンプルレート上り回線速度
 YouTube Live3840x2160p60fps35Mbpsステレオ
128kbps / 44.1kHz
30fps30Mbps
1920x1080p60fps12Mbps
30fps10Mbps
1280x720p60fps6Mbps
 Zoom Events / Webinars Plus1920x1080p30fpsステレオ
128kbps もしくは 192kbps / 44.1kHz
6Mbps以上
1280x720p30fps4Mbps以上
 Microsoft Teams(RTMP-In)1920x1080p30fps / 29.97fps10Mbps192kbps / 48kHz
1280x720p5Mbps
 Webex Events RTMP1920x1080p30fps最大8500kbpsステレオ もしくは モノラル
96〜320kbps / 44.1kHz もしくは 48kHz
1280x720p最大4500kbps
 Vimeo1920×1080p30fps5000kbps(最大推奨)25.1Mbps以上
4000kbps10.1〜25Mbps
1280x720p30fps2500kbps4.1〜10Mbps
 Facebook Live1920x1080p60fps4500〜9000kbpsステレオ
128kbps / 44.1kHz もしくは 48kHz
30fps3000〜6000kbps
1280x720p60fps2250〜6000kbps
30fps1500〜4000kbps
 Twitch1920x1080p60fps6000kbpsステレオ もしくは モノラル
96kbps / 任意
30fps4500kbps
1280x720p60fps4500kbps
30fps3000kbps
 Instagram Live720x1280p30fps2250〜6000kbpsステレオ
256kbps以下 / 44.1kHz
 ZAIKO1920×1080p30fps2500〜5000kbpsステレオ
192〜320kbps / 48kHz
50Mbps以上

推奨設定は変更される場合があるため、実際に配信を行う際は各プラットフォームの最新の公式ドキュメントも確認することをおすすめします。

3. エンコーダーの詳細設定

ここからは、各プラットフォームが公開しているエンコーダーの推奨設定をご紹介します。

ライブ配信では、解像度やビットレートだけでなく、コーデックやキーフレーム間隔、配信プロトコルなどの設定も重要です。設定が推奨値から大きく外れていると、配信エラーや画質低下の原因になることがあります。

OBSやvMixなどの外部エンコーダーを利用する場合は、各プラットフォームの推奨設定を確認しておきましょう。

3-1. YouTube Live

項目推奨値
配信プロトコルRTMP / RTMPS
映像コーデックH.264
音声コーデックAAC または MP3
キーフレーム間隔2秒を推奨(4秒以下)
ビットレート制御CBR

ライブ エンコーダの設定、ビットレート、解像度を選択する – YouTube ヘルプ

3-2. Zoom Events / Zoom Webinars Plus

これはZoom EventsおよびZoom Webinars PlusのIncoming RTMP Livestream機能における推奨設定です。

通常のZoomミーティングやウェビナーでは、映像品質はZoom側で自動制御されます。

項目推奨値
配信プロトコルRTMP / RTMPS
映像コーデックH.264
音声コーデックAAC
キーフレーム間隔2秒
ビットレート制御CBR

Hosting a webinar with RTMP livestream

3-3. Microsoft Teams(RTMP-In)

項目推奨値
配信プロトコルRTMP / RTMPS
映像コーデックH.264、レベル 4.0
音声コーデックAAC-LC
キーフレーム間隔2秒
ビットレート制御1080p:CBR / VBR
720p:CBR

Microsoft Teamsでのストリーミング用エンコーダー構成 – Microsoft Teams | Microsoft Learn

3-4. Webex Events RTMP

項目推奨値
配信プロトコルRTMPS
映像コーデックH.264
音声コーデックAAC
キーフレーム間隔2秒
ビットレート制御CBR

ストリーム プロバイダーとして、RTMP Playerを選択します。

ソフトウェアでポートが必要な場合は、443を使用することに注意してください。

RTMP を使用してサードパーティ ソフトウェアからWebex Eventsにストリーミングする | 知識ベース

3-5. Vimeo

項目推奨値
配信プロトコルRTMP / RTMPS
映像コーデックH.264
音声コーデック
キーフレーム間隔3秒
ビットレート制御

ライブイベント用外部エンコーダーについて – ヘルプセンター

生放送をストリーミングするための推奨ネットワーク構成 – ヘルプセンター

3-6. Facebook Live

項目推奨値
配信プロトコルRTMPS
映像コーデックH.264、レベル4.1(最大1080p@30fps)
H.264、レベル4.2(1080p@60fps)
音声コーデックAAC-LC
キーフレーム間隔2秒を推奨(4秒以内)
ビットレート制御CBR

Facebook Liveの動画の要件。 | Metaビジネスヘルプセンター

3-7. Twitch

項目推奨値
配信プロトコルRTMP
映像コーデックH.264
音声コーデックAAC-LC
キーフレーム間隔2秒
ビットレート制御CBR

配信ガイドライン

3-8. Instagram Live

Instagramは、Live Producerを使用したRTMP配信に対応していますが、エンコーダーの詳細設定は公開されていません。

なお、Live Producerの利用条件や提供状況は変更される場合があります。

Instagram Live Producer: 強化されたライブストリーミング | Instagramについて

3-9. ZAIKO

ZAIKOはRTMP配信に対応していますが、エンコーダーの詳細設定は公開されていません。

ライブ配信時の設定推奨値 | Zaiko主催者向けFAQ

4. インターネット回線速度の目安と注意点

ライブ配信では、映像と音声のビットレートを合計した「配信ビットレート」以上の上り(アップロード)回線速度が必要になります。例えば、配信ビットレートを5Mbpsに設定した場合でも、上り速度が5Mbpsちょうどでは安定した配信はできません。

通信状況の変動や一時的な帯域低下を考慮し、十分な余裕を持った回線を用意することが重要です。一般的には、配信ビットレートの2〜3倍程度の上り速度を確保すると安心です。

配信ビットレート(映像+音声)推奨上り回線速度
3Mbps6〜10Mbps以上
5Mbps10〜15Mbps以上
10Mbps20〜30Mbps以上
15Mbps30〜45Mbps以上
20Mbps40〜60Mbps以上
  • あくまで目安であり、配信環境や回線品質によって必要な帯域は変動します。

また、実際の配信現場では、回線速度以外にも確認しておきたいポイントがあります。

4-1. 回線速度以外にも確認したいポイント

回線速度を測定する際は、Googleの速度テストやSpeedtestなどのサービスが利用されることがあります。

Speedtest by Ookla – The Global Broadband Speed Test

インターネット回線の速度テスト | Fast.com

しかし、十分な速度が出ていてもライブ配信が安定するとは限りません。ライブ配信では、上り速度だけではなく次のような要素も重要です。

  • パケットロス
  • ジッター(通信のばらつき)
  • 通信の安定性
  • 利用者数による速度変動

特に企業ネットワークや会場回線では、時間帯によって通信品質が大きく変化することがあります。また、実際には通信制御情報(オーバーヘッド)が付加されるため、回線速度には余裕を持たせる必要があります。

4-2. Wi-Fiより有線LANを推奨

ライブ配信では、Wi-Fiよりも有線LANの利用をおすすめします。Wi-Fiは周囲の電波環境の影響を受けやすく、次のようなトラブルが発生する場合があります。

  • 通信速度の低下
  • パケットロス
  • 接続の瞬断

安定した配信のためには、有線LANによる接続が基本です。

4-3. モバイル回線利用時の注意点

近年は5Gやモバイル回線を利用したライブ配信も増えています。ただし、以下の要因によって通信品質が変化します。

  • 会場周辺の利用者数
  • 建物の構造
  • キャリアごとの電波状況

本番前には、必ず現地で通信テストを実施しましょう。

4-4. 重要な配信では冗長化も検討する

セミナーや株主総会、記者発表会など失敗できない配信では、回線の冗長化も有効です。

  • 光回線+モバイル回線
  • 光回線+衛星回線
  • 複数キャリアのモバイル回線

上記のような回線構成を組み合わせることで、回線障害や通信品質の低下による配信トラブルのリスクを低減できます。

まとめ|プラットフォームごとの推奨設定を確認しよう

ライブ配信プラットフォームによって、推奨される解像度やビットレート、音声設定、配信プロトコルは異なります。特にYouTube LiveやFacebook Live、TwitchなどのRTMP配信では、エンコーダーの設定が配信品質に大きく影響します。

一方、Zoom EventsやMicrosoft Teamsなどの企業向けプラットフォームでは、RTMP入力機能を利用することで、OBSやvMixなどのエンコーダーから高品質な映像を配信できます。

また、推奨設定を満たしていても、回線の安定性や会場ネットワークの状況によっては映像や音声に問題が発生することがあります。ライブ配信を行う際は、事前の通信テストや十分な回線帯域の確保も重要です。

小規模な配信であれば社内で対応できるケースもありますが、重要なイベントや視聴者数の多い配信では、事前の回線調査や冗長化を含めた配信設計が求められます。

配信トラブルのリスクを抑えたい場合は、ライブ配信の実績がある専門業者へ相談することも検討してみてください。

15年以上の実績で、映像発信を総合的に支援。法人向けライブ配信・映像制作ならピクセルズ。